教育力においても僅差、かつハイレベルな4大学

 総合ランキングはいずれも60位以上。私立大学のみで言えば5位(立命館大学)から57位(関西大学)までと、上位のランク帯にあり、4大学とも高い教育力が認められています。4大学間の総合スコアの差は約10ポイント。ライバル同士とも言われる「関関同立」は、ランキング上でも僅差の位置関係にあります。
 分野別スコアを見ると、「教育リソース」はそれほど高くなく「教育満足度」が非常に高いという点で、4大学とも似た特徴を持っています。差がついたのは「国際性」です。立命館、同志社、関西学院の3大学が、関西大学をリードしています。

国際教育が盛んな立命館大学、実践力重視の同志社大学

 立命館大学は分野別ランキングで「教育満足度」19位、「教育成果」17位、「国際性」=35位と、3分野が高いレベルにあります。高校教員や企業から人材育成力が評価されていることがうかがえます。2014年度に文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」に採択されるなど、特にグローバル人材の育成に期待できる大学と言えます。
 これらの特徴が集約された取り組みの1つが、「グローバル人材養成プログラム」。日本人学生と外国人留学生が約20人ずつ参加し、企業から出された課題を協力して解決するプログラムです。人種、言葉、専門分野などの壁を越えて考えを伝えあい、社会で働く実践力を養うことができます。
 各学部においても、国際教育を進める取り組みが盛んです。例えば、情報理工学部では、専門力、英語力、社会人基礎力を鍛えてグローバルIT人材を育成する「みらい塾」を開講中。文学部が実施する「キャンパスアジア・プログラム」では2・3年次の2年間、韓国と中国への留学を半期ごとに繰り返し、東アジアの国際的な活動を推進する人材をめざします。さらに2019年度には、オーストラリア国立大学と立命館大学の2つの学位を取得できるグローバル教養学部の設置を予定しています。

 4大学の中でも、「教育満足度」で最も高いスコアを得たのが同志社大学。分野別ランキングでは18位です。多くの高校教員から「入学後に伸びる」と評されている理由として、PBL(プロジェクト型学習)を重視した教育を続けている点が挙げられるでしょう。
 同大学におけるPBLの代表的な授業「プロジェクト科目」は2006年度に設置された10年以上の歴史を持つ科目です。地域や企業の人々から授業テーマ・講師を募るユニークな形式で、2017年度はUSJ社員が講師を務める「テーマパーク利用者の利便性向上に関する企画立案プロジェクト」や、玩具会社の開発者による「ヒット玩具の企画立案」などが開講されました。
 こうした産学連携教育を継続した結果として、企業からの評価が高まり、「教育成果」の高スコアにつながっていると考えることもできます。同大学が実施した就職内定アンケートでは、学部生の91%以上が内定先に「満足」と答えています。志望した企業に入社する就職力も、企業と接点の多い教育によって引き出されているのかもしれません。

関西学院大学と関西大学、それぞれのグローバル人材育成の特徴

 「教育満足度」に加えて「国際性」も高い点が関西学院大学の特徴です。外国人の教員、学生が多いキャンパス環境の中で、学生がグローバル人材としての力をはじめ様々な能力を磨いている様子がうかがえます。
 キャンパスをこれまで以上に国際性豊かな場とすべく進められている「グローバル・アカデミック・ポート」の構築事業は、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」に採択されています。同事業では学生が異なるものと出会う「アウェイチャレンジ」が推奨され、留学プログラムの拡充を図っているほか、国際協力事業への参加、外国人学生とペアを組んでのインターンシップなどの機会も提供しています。2022年度までに、協定に基づく海外学生派遣数を日本一にするという目標が掲げられています。
 「教育満足度」の評価項目には「入学後の能力伸長」が含まれていますが、これを可視化するシステムが「KGポートフォリオ」です。学生は、日々の学修活動、単位修得状況、GPAの推移などをスマートフォンで確認することができます。

 関西大学も他の3大学と同じく「教育満足度」のスコアが高く、分野別ランキングでは34位。高校教員からグローバル人材の育成、入学後の能力伸長について良い評判を得ていることがわかります。
 グローバル人材の育成に重要な役割を果たしているのが「グローバル科目群」です。その中でも、「防災・減災と復興」「食品科学& 生物工学」など8つのテーマごとに複数科目をグルーピングした「グローバル・フロンティア科目」と、語学力や海外留学の知識を蓄える「留学準備スキルアップ科目」は英語で開講されています。留学生と共に学び、国際感覚を培います。
 「教育成果」は分野別ランキングで47位。同大学の特徴的な研究は「関大研究力サイト」にわかりやすくまとめられていますが、こうした研究成果が生み出される環境で学べるという学生にとってのメリットが、研究者からの評判に反映されたと考えることもできます。
 「国際性」はランク外となりましたが、教員や学生アシスタントと英語で話せる「Mi-Room」、学生同士がパートナーとなって語学学習をサポートし合う「Conversation Partner Program」、留学生の寮生活をサポートする「レジデント・アシスタント」制度など、留学生と触れ合う機会は多数用意されています。