ランクアップにつながった国際性スコア
日本版ランキング2018において、総合ランキング150位以内にランクインした大学のうち、昨年のランキングより順位を上げたのは51大学。そのうち26校を私立大学が占めています。
ランクアップした私立大学の分野別スコアを見てみると、国際性スコアのアップによって、順位を上げた大学が数多くあります。そこで、昨年より順位を上げた私立大学のうち、国際性のスコアを伸ばした3大学(慶應義塾大学、上智大学、同志社大学)を取り上げ、どのような取り組みをしているのか、紹介します。
インバウンドに関する取り組み
国際性スコアを伸ばした3大学に共通するのは、「英語で学位が取得できるコース」が設置されている点です。この制度により、海外からの外国人留学生の受け入れを促進しています。英語のみで行われる授業数の増加により、国際性スコアに貢献していると考えられます。
特に、「英語で学位が取得できるコース」について、他大学に先行して積極的に取り組んできたのは、総合15位の上智大学です。もともとは国際教養学部のみの実施でしたが、2012年から理工学部も加わり、幅広い学生の受け入れを進めています。
また、文部科学省のスーパーグローバル大学創生支援事業において、グローバル化牽引型としてスーパーグローバル大学に採択されている上智大学では、グローバル・キャンパスの創成に向け、多様な文化圏・地域からの留学生受け入れに積極的です。その一環として、海外指定校から、特別入試を経て入学する学生を増やす取り組みが行われています。この取り組みにおいて、2013年度に7校だった海外の指定校を、2023年度には50校に増加させる目標を掲げています。
2018年2月に発表された、スーパーグローバル大学創生支援事業の中間評価では、5段階中最高ランクのS評価を取得するなど、外部機関からの評価も高く、今後もさらなるグローバル環境の整備が期待されています。
アウトバウンドに関する取り組み
日本版ランキング2018では、国際性のスコアに、インバウンドだけでなくアウトバウンドに関する項目として、日本人学生の留学比率が加えられています。
その影響を受けたと見られるのが、総合ランキング10位の慶應義塾大学と28位の同志社大学です。両校は、ダブルディグリープログラムや提携大学との交換留学などにより、中長期の留学生が多く、慶應義塾大学は16ポイント、同志社大学は6.2ポイントの国際性スコアアップにつながったと考えられます。
慶應義塾大学は経済学部、商学部、理工学部、同志社大学は法学部と理工学部の各学部において、ダブルディグリープログラムを実施しています。それぞれ、学生が提携大学で学ぶことにより、留学先の学位も取得できるプログラムになっています。この取り組みは、国際社会で活躍する人材の育成とともに、学生の海外輩出にも貢献しています。
また、慶應義塾大学では33か国135校(2018年1月時点)、同志社大学では34か国144校(2017年12月時点)と学生交換協定を締結しています。両校は、1年間の交換留学や、夏休み・春休みを活用した短期プログラムを通じ、協定を結んでいる海外の大学へ多くの学生を派遣しています。
日本版ランキング2018で順位を上げた大学は、ほかにも数多くあります。それぞれ、どの分野でスコアを伸ばしているか、その背景にはどのような取り組みがあるのかを調べていくと、大学が強化している取り組みや大学の新たな側面を発見できるのではないでしょうか。