2018トピックス人気記事①:京大と東大が同率トップ
イギリスの高等教育専門誌Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)は2019年3月27日に、「THE世界大学ランキング日本版2019」を発表します。
日本版ランキングは、学部教育にフォーカスし、日本の教育の質を世界に発信することを目的として2017年に初めて発表され、2019年で3度目の発表となります。ランキングの指標は「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野構成されています。
日本版ランキング2018を、多くの人に読まれた記事から振り返ります。
2018年度、最も注目が集めたトピックスは、東京大学、京都大学の日本版ランキング2018の同率1位ランクインでした。
日本版ランキング2017では、総合分野で東京大学が1位、京都大学が2位という結果でしたが、日本版ランキング2018では、京都大学が「国際性」分野で大幅にスコアを伸ばし、総合分野で東京大学と同率1位という結果になりました。京都大学に限らず、日本版ランキング2018でトップ10にランクインした多くの大学に当てはまる特徴として、「国際性」分野で大幅にスコアを伸ばしているという点が挙げられます。
日本版ランキング2019では「国際性」分野のスコアが順位変動にどのような影響を与えるかに注目しましょう。
2018トピックス人気記事②:スーパーグローバル大学など、様々な大学の動向に注目
スーパーグローバル大学とは、日本の高等教育の国際競争力の向上を目的とする文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」で、大学の国際化を牽引するモデル校として選ばれた大学を指します。海外の大学との連携や国際化を推進する大学を文部科学省が選定し、助成金などによって積極的に支援を行います。2019年3月現在、「トップ型」13校と「グローバル化牽引型」24校の合計37校がスーパーグローバル大学として選定されています。
日本版ランキング2018には、スーパーグローバル大学に選定された37大学のうち、34の大学がランクインしています。また、「トップ型」として認定された13の大学は全てランクインしています。
分野別に見てみると、「国際性」分野のみならず、「教育成果」分野でも高い評価を得ている大学が多いことがわかります。「教育成果」分野のランキングは、企業人事や研究者からの評判調査が反映されます。スーパーグローバル大学は企業や研究者からの評判が高い傾向がうかがえます。
日本版ランキング2019から、大学を分野ごとに比較してみましょう。偏差値だけでは測りきれない大学の魅力に気づくことができるでしょう。
2018トピックス人気記事③:世界ランキング2019との比較
THEは、2018年9月にTHE世界大学ランキング2019(以下、世界ランキング2019)を発表しました。世界ランキング2018と比べて、東京大学・京都大学が順位を上げ、日本の大学のランクイン数が英国を抜き、世界2位になったことが注目を集めました。
大学の教育力に焦点を当てる日本版ランキングに対し、世界ランキングでは研究機関としての大学の役割に焦点を当て、「教育」「研究」「被引用論文」「国際性」「産業界からの収入」の5分野13の指標に基づいて大学がランク付けされます。世界ランキング2019には、86カ国1,250校以上の大学がランクインし、1,102校がランクインした世界ランキング2018と比べ、ランクイン校数は増加しました。
世界ランキング2019に日本の大学からは103校がランクインし、世界ランキング2018の89校に比べ、ランクイン校数が大きく伸びました。 日本のランクイン校は、アメリカに次いで2番目に多い増加数でした。一方、大学間競争が激化する中、日本の大学の問題点も指摘されています。人口減、高齢化、留学生獲得の国際的競争激化などの課題への対処が、今後の大学の教育力、研究力に大きな影響を与えると思われます。
世界ランキング2018において日本の大学でトップだった東京大学は、世界ランキング2019で46位から42位に、2位の京都大学も74位から65位に順位を上げました。このような東京大学、京都大学のランクアップには「教育」「産業界からの収入」分野の改善が大きく影響を与えました。他にも、東京大学は「研究」分野、京都大学では「被引用論文」分野でスコアを伸ばしています。
2019年3月27日に発表される日本版ランキング2019と世界ランキング2019と比較してみると、どのような傾向が読み取れるのでしょうか。近年の日本や諸外国の大学の傾向が浮かび上がってくるのではないでしょうか。