同じ国・地域の大学間で激しい競争を展開
「THEアジア大学ランキング2019」は「THE世界大学ランキング2019」と同じデータを使い、指標の比重を一部変えてランクづけしています。「教育」「研究」「被引用論文」「産業界からの収入」「国際性」の5分野のうち、「教育」の比重は世界ランキング30%でアジアランキング25%、「産業界からの収入」の比重は世界ランキング2.5%でアジアランキング7.5%となっています。これにより、相対的な順位が世界ランキングとは一部、異なっています。
今回のアジアランキングには27の国と地域の大学がランクインしました。トップの清華大学は「教育」「被引用論文」「国際性」の各スコアが大幅に上昇しました。
トップ10を見ると、「産業界からの収入」「国際性」のスコアが上昇した香港科技大学が前年の5位から3位に浮上し、前年と同じ4位の香港大学を上回りました。2017年に中国の大学の中でトップだった北京大学は「研究」の中の「研究関連収入」、および「産業界からの収入」の減少により前年の3位から5位にダウン、清華大学との差が広がりました。前年13位だった韓国の成均館大学は10位に上がり、9位キープのソウル大学のポジションをうかがうなど、同じ国・地域の大学間でも激しい競争が展開されています。
トップ20のランクイン校数は中国6、香港・韓国各5、シンガポール・日本各2で、同率20位が2校あった前年(中国7)とほぼ変わりませんでした。
日本のランクイン大学数は伸び悩んでいるとの指摘も
日本からのランクインは2018年に発表されたトップ350+での89校に対し、今回のトップ400+では103校に増加しました。しかし、THEデータサイエンティストのビリー・ウォン氏は「日本は躍進する中国や韓国の大学、その他の新規参入大学と比べて伸び悩んでいる」と指摘。東京大学(8位)と京都大学(11位)が前年と同じ順位を維持し、総合30位の東京工業大学が前年から3ランクアップしたものの、それ以外の有力国立大学、ランキング下位の大学の多くが順位を下げました。日本のこの状況に比べると中国・韓国は、上位から下位の大学にわたり、順位を維持したり上昇させたりしているケースが目立ちます。
日本からの新たなランクインは16校
今回、新たにランクインしたのは、総合で同率78位、日本の大学の中で12位に躍進した帝京大学をはじめ日本医科大学(同率116位)、立教大学(147位)など16校。帝京大学は日本の大学の中でスコアが最も高い被引用論文が強みです。
前年、初めてのランクインで83位だった藤田医科大学も、被引用論文が帝京大学に次ぐ高スコアで総合順位が同率74位にアップし、日本の私立大学トップのポジションをキープしました。
藤田医科大学でのサミットの主要テーマは「創造性」
次回のアジアランキング発表の場となるアジアサミットは、2020年6月2日~4日、藤田医科大学で開催されます。世界の大学トップが集うTHEサミットの日本開催は初めてとなります。「Crossing boundaries, unlocking creativity(境界を越え、 創造性を引き出す)」をテーマに、少子高齢化、国際交流の進展など、日本をはじめとするアジア諸国の課題、AIやSDGsなど、グローバル社会が直面する課題に、大学が国や学問領域の境界を越えて取り組むために知を結集させます。ノーベル賞受賞者や国際的リーダー、各国トップクラスの大学の学長などが登壇する予定です。