日本のランキング対象大学110校中、順位アップは6校

 イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は6月3日、8回目となる「THEアジア大学ランキング2020」を発表。489の大学がランキング対象になりました。トップは前年に続き清華大学で、北京大学が前年5位から2位に上昇、中国の大学がトップ2の座を占めました。
 東京大学は前年から1つ順位を上げて7位、京都大学は1つ下げて12位にランクイン。THEは「日本のランキング対象大学110校のうち順位を上げたのは6校だけ」「アジア各国の大学が強みを増しているため、日本の大学はランクの維持に苦戦している」とコメントしています。

ランキング対象校数は前年から17%増加

 「THEアジア大学ランキング2020」は「THE世界大学ランキング2020」と同じデータを使い、指標の比重を一部変えてランク付けしています。「教育」「研究」「被引用論文」「産業界からの収入」「国際性」の5分野のうち、「教育」の比重は世界ランキング30%でアジアランキング25%、「産業界からの収入」の比重は世界ランキング2.5%でアジアランキング7.5%。これにより、相対的な順位が世界ランキングとは一部、異なっています。
 清華大学、北京大学に次ぐ第3位はシンガポール国立大学で、2018年までの3年連続トップから一転、2年連続で順位を落としました。中国科学技術大学が2ランクアップの10位タイとなったのを除き、トップ10は前年と同じ顔ぶれです。トップ20のランクイン校数は中国7、韓国5、香港4、シンガポール・日本各2で、中国が1校増、香港が1校減となりました。
 THEアジア大学ランキング2020は、計30の国と地域の489校がランキング対象となりました。大学数が前年から17%増え、アジア全体の高等教育が勢力を増し、ランキングへの参加にも意欲的であることを示しています。THEは「世界的な高等教育界でアジアの大学がキープレーヤーとしての地位を確立し、近隣諸国、特に清華大学と北京大学が初めてツートップについた中国との競争が激化している」と講評しました。

日本から14校がトップ100入り

 日本のランキング対象大学は新顔7校を含む110校で、すべての国を通じて、このアジアランキング史上最多となりました。日本に次いでランキング対象大学が多いのは中国(81校)、インド(56校)でした。
 日本からは、14校がトップ100にランクイン。また、日本の大学で前年から順位を上げたのは6校で、81校は順位を下げました。東京大学以外で順位を上げたのは、東北大学(31位タイ→30位)、東京医科歯科大学(66位→62位)横浜市立大学(127位→95位)、関西医科大学(201-250位→128位)、室蘭工業大学(301-350位→251-300位)です。

 初めてランキング対象になった7校のうち産業医科大学は57位で一挙にトップ100入りを果たしました。久留米大学も192位タイと好順位につきました。

アジアサミットは来年6月1日~6月3日に開催

 THEが2020年、日本初開催として予定していた藤田医科大学でのアジアサミットは2021年6月1日~3日に延期されました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた措置です。また、同年5月31日に予定していた「アワードアジア2021」関連のプログラムは、年の後半に日程を変更して行われる予定です。
 2021年のアジアサミットでは「Crossing boundaries, unlocking creativity(境界を越え、創造性を引き出す)」をテーマに、日本をはじめとするアジア諸国の課題、AIやSDGsなど、グローバル社会が直面する課題に、大学が国や学問領域の境界を越えて取り組むために知を結集させます。
 ノーベル賞受賞者や国際的リーダー、各国トップクラスの大学の学長などの登壇が予定されています。現在、参加申し込みを受け付けています。