THE大学インパクトランキング2020は17のSDGでランク付け
イギリスの高等教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(以下、THE)は、2020年4月22日、THE大学インパクトランキング2020を発表しました。これは、国連のSDGs(持続可能な開発目標、エスディジーズ)をもとに、大学の社会貢献度をランク付けしたものです。
THE大学インパクトランキングでは、SDGそれぞれに関してランク付けされるため、THE世界大学ランキング2020などのランキングとは違った顔ぶれになっています。
この記事では、THE大学インパクトランキング2020にランクインした女子大学を取り上げます。
3つのSDGでランクインした恵泉女学園大学
恵泉女学園大学は、東京都多摩市にある私立大学です。人文学部、人間社会学部を持ち、学生の「生涯就業力」を磨くことに力を入れています。「SDG4質の高い教育をみんなに」で201-300位、「SDG5ジェンダー平等を実現しよう」で101-200位、「SDG16平和と公正をすべての人に」で301-400位にランクインしました。
まずは、「SDG4質の高い教育をみんなに」に関する取り組みを見ていきます。こちらの大学には、社会のさまざまな人に向けた科目等履修生制度・公開講座の豊富さが特徴といえます。その中で、科目等履修生制度では、日本語教師の資格を取得することが可能です。また、公開講座では、性別問わず学修者を募集しています。履修証明書制度もあり、多くの人に、大学での学びや、学びによるステップアップの機会を設けています。
続いて、「SDG5ジェンダー平等を実現しよう」に関する取り組みを紹介します。女性はライフイベントによって生き方を左右される可能性が男性よりも大きいため、恵泉女学園大学では、女子学生の「生涯就業力」の向上に積極的です。生涯就業力とは、「生涯にわたって自分らしく生きる目標を忘れず、身近な大切な人、地域・社会のために尽くして生き続ける力」のことです。学生は、90プログラム以上ある実体験学習や、4年間を通したゼミにより、教養や語学力、考える力、社会人スキルを学んでいきます。また、全学共通科目でも、ジェンダーに関する教育が行われています。
「SDG16平和と公正をすべての人に」に関する取り組みを見ていきます。こちらの大学では、全学共通の必修科目として「平和研究入門Ⅰ・Ⅱ」を設けています。「平和研究入門Ⅰ・Ⅱ」で、学生は、主に異文化理解、戦争などについて学修します。特に、人間社会学部国際社会学科の国際関係領域では、「世界の問題を理解し、平和を探究する」ことを目標として掲げています。このような平和に関する教育・研究の土壌が、ランクインにつながったのではないでしょうか。
「SDG3すべての人に健康と福祉を」にランクインした武庫川女子大学
武庫川女子大学は、「SDG3すべての人に健康と福祉を」で401-600位にランクインしました。
2019年に開学70年を迎えた歴史ある大学で、10学部17学科を有しています。
健康・スポーツ科学科、生活環境学科、食物栄養学科、食創造科学科、健康生命薬科学科など、健康や「よりよい暮らし」に関係する学科が豊富で、そのような領域に関する教育・研究が盛んな大学だといえます。さらに、卒業後、社会の健康増進に役立つような人材育成の取り組みも行われています。例えば、健康・スポーツ科学科における健康づくり・スポーツ関連の資格取得、食物栄養学科、食創造科学科においては、食と健康、食と栄養の高度な専門知識を身につけながら実践力を磨くなどが挙げられます。
また、健康・生活分野での地域への貢献にも積極的です。例えば、1990年から中高年女性を対象にした「いきいき栄養学講座」を開講しています。さらに、総合心理相談室では、地域の人々から相談を受け付けています。「子育てひろば」では、無料で交流の場を提供し、子育ての相談に乗るといった活動も行っています。
大学内における学生の健康へのサポートもきめ細かく、健康サポートセンターや学生相談センターで、学生の健康に寄り添っています。
この記事では、THE大学インパクトランキング2020にランクインした女子大学の取り組みを見てきました。
THE大学インパクトランキング2020について、詳しく知りたい方は、記事下の関連リンクよりご確認ください。