THE世界大学ランキング日本版の「外国語で行われている講座の比率」とは何か

 THE世界大学ランキング日本版のWebサイトでは、THE世界大学ランキング日本版2020のデータをもとに、ランクインした大学の「外国語で行われている講座の比率」を公開しています。
 この比率には、外国語を学習する科目数ではなく、外国語を用いて授業を行う科目数を用いています。具体的には、「2018年度に外国語で行われた科目数(語学を除く)/全科目数」で算出されます。
 外国語を使って授業をすることには、さまざまなメリットがあります。例えば、学生にリスニングやスピーキングの能力が身に付くこと、ディスカッションや発表も外国語で行うことにより外国語を言語として使いこなせるようになることなどです。また、留学生が学びやすい環境といえます。
 THE世界大学ランキング日本版2020の「国際性」分野のランキングにランクインした大学の中から、特に「外国語で行われている講座の比率」が高い大学を5校ピックアップして紹介しましょう。

外国語で行われている講座の比率が高い大学5選①国際教養大学

 国際教養大学での、外国語で行われている講座の比率は77.6%です。

 国際教養大学は、THE世界大学ランキング日本版2020の「国際性」分野のランキングで1位の大学です。
 「外国語で行われている講座の比率」は、外国語を学習する授業数を除いて計算するため数値が低く出ていますが、すべての授業を英語で開講している点が特徴です。
 国際教養大学では、「英語を学ぶ大学」ではなく「英語で学び、英語で考える大学」をモットーに、英語を使いこなせる学生の育成に取り組んでいます。
 学生は、一年次から行う「英語集中プログラム」を通して、大学の学びで必要なことをひととおり英語で行えるよう、英語力を鍛えます。例えば、講義を聴く、ノートをとる、内容を理解してそれをもとに自分で考える、自分が考えたことを発表する、討論する、レポートや論文として作成するなどです。これらの取り組みで、2年生以降の交換留学に耐えうる英語力が身に付きます。

外国語で行われている講座の比率が高い大学5選②立命館アジア太平洋大学

 立命館アジア太平洋大学の外国語で行われている講座の比率は、76.7%です。

 立命館アジア太平洋大学では、国際社会に貢献する人材の育成を目指しています。
 キャンパス内の公用語は「日本語と英語」とされ、学部での講義のおよそ90%は日英二言語で開講。教養科目や専門科目も英語で行われています。
 キャンパス内での外国語学習サポートも豊富です。英語を学び合う自習スペース、英語の添削を受けられるライティングセンター、外国語教員への相談などの環境がそろい、学生の外国語学習の助けとなっています。
 さらに、アジア太平洋地域の6言語(中国語、韓国語、マレー・インドネシア語、スペイン語、タイ語、ベトナム語)を入門レベルから上級レベルまで学習できる「アジア太平洋言語(AP言語)」教育科目が開講されています。立命館アジア太平洋大学では、英語だけでなく多言語が学べるのです。

外国語で行われている講座の比率が高い大学5選③会津大学

 会津大学の外国語で行われている講座の比率は、45.5%です。

 会津大学は福島県の公立大学で、学部はコンピュータ理工学部のみです。
 1993年の開学当時は日本におけるコンピュータ研究者・技術者が少なかったため、全世界から教員を募集しました。その歴史が、現在の会津大学の国際的なネットワークにつながっています。教員の約4割が外国人です。
 会津大学では、語学研究センターにおいて、専門的な研究に役立つ英語教育を行っています。海外の大学との共同研究も盛んです。
 語学研究センターでは、音声学や英語の方言、国際交渉も研究しています。このような語学の研究が盛んな土壌で培われた知識をもとに、学生に言語教育が行われるという、語学学習にも恵まれた環境だといえます。

外国語で行われている講座の比率が高い大学5選④東京工業大学

 東京工業大学の外国語で行われている講座の比率は、44.0%です。

 東京工業大学は、理工系の国立大学です。2016年度に日本の大学で初めて、学部と大学院を統一した「学院」の制度を導入しました。「科学・技術の力で世界に貢献する人材」の育成を目指しています。
 東京工業大学では、世界に貢献する人材の育成には国際教育が必須であるとの考えから、英語教育や国際交流に力を入れています。実際に、東京工業大学では国際共同研究も多く、国際共著論文は論文全体の3分の1に上ります。
 国際教育の取り組みとして、「グローバル理工人育成コース」を設けていることが挙げられます。「グローバル理工人育成コース」は、学生の「国際基礎力」「国際実践力」「国際協働力」を段階的に発展させるカリキュラムです。具体的には、英語4技能やアカデミックな英語能力、国際協力に必要なグローバルリーダーとしての素養、教養科目などにより、語学力はもちろん、知識やコミュニケーションの部分でも国際的に活躍するための準備を行います。

外国語で行われている講座の比率が高い大学5選⑤国際基督教大学

 国際基督教大学の外国語で行われている講座の比率は、42.2%です。

 国際基督教大学は、学生数約3000人の小規模大学でありながら、日本版ランキングの「教育充実度」分野で2位のランクを獲得しています。
 国際基督教大学では、「自分の社会や文化の常識を当然視することなく、未知の価値や思想に接して対話を重ね、他者との新たな関係の中に自己を見つめ直すことができる人」の育成を目指しています。そのために重要な資質として、日英バイリンガル教育を掲げています。
 具体的な取り組みとして、建学当初から日英両語を公式言語としているほか、リベラルアーツ英語プログラム、もしくは日本語教育プログラムの履修を卒業要件としています。
 さらに、世界のさまざまな言語の教育にも積極的です。中国語、韓国語、アラビア語、インドネシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、イタリア語と、多くの言語の科目を開講しています。