西日本で「教育充実度」分野のランクを上げた私立大学は?
THE世界大学ランキング日本版の指標の一つである「教育充実度」とは、「どれだけ教育への期待が実現されているか」を表します。実際にその大学に通う在学生への学生調査と、高校教員の評判調査の結果が指標化されています。
「教育充実度」分野で上位に入る大学は、授業・指導の充実度はもちろんのこと、教員・学生の交流や、協働学修の機会の確保、学修を進める上でのサポート体制の整備などが評価されているといえます。
2021年度の世界大学ランキング日本版において、「教育充実度」分野のランクを上げた西日本の私立大学は、11校ありました。
そこで、その11校のうち、大幅に順位を上げた3校をピックアップしてご紹介します。
教育充実度の順位が上昇した大学の取り組み①宮崎国際大学
宮崎国際大学は、「教育充実度」スコアが61.8で、101位でした。2020年度から14位上昇と、西日本の私立大学の中で、最も大きく順位を上げた大学です。国際大学としてグローバル教育に注力しており、「国際性」分野ランキングでは8位となりました。
学生が能動的に学修を進める「アクティブ・ラーニング」を通して、クリティカル・シンキング(批判的思考)能力の育成に力を入れているのが大きな特徴です。
中でも国際教養学部では、開学から20年以上、英語によるアクティブ・ラーニングが実施されています。外国人教員比率は約80%に上り、1年次までの授業は、教科と英語2名の教員によるチームティーチングが行われています。このチームティーチングによって、より学生が教員と打ち解けやすく、質問しやすい環境がつくられています。
国際教養学部に限らず、宮崎国際大学では、入学と同時に手厚いサポートを受けることができます。代表的なサポート制度に、「アドバイザー制度」があります。入学すると同時に学生一人ひとりに担当のアドバイザー(個別指導教員)がつき、学生各自の興味や希望を聞いた上で、履修登録、学修計画等に関する指導を行い、生徒の教育をバックアップする制度です。
加えて、先輩学生が新入生サポートを行う「アドバイザー・アシスタント(AA)制度」もあるため、より新入生に近い目線から、アドバイスを受けることも可能です。
グローバル教育を受けられることに加えて、こういった細やかな教育サポート体制が、学生が学びやすい環境につながっていると考えられます。
教育充実度の順位が上昇した大学の取り組み②九州産業大学
九州産業大学は、「教育充実度」スコアが62.4で、94位でした。2020年度の順位から11位上昇しており、上昇数は西日本の私立大学の中でトップ3に入ります。
同大学は、文系・理学系・工学系・芸術系の10学部22学科で、文理芸が融合した総合大学であることが特色です。社会人として求められる能力を身に付けるため、「KSU基盤教育」「KSUプロジェクト型教育」「キャリア教育」の3つの独自教育プログラムを採用しています。
まず、教養教育、外国語教育、専門基礎教育からなる「KSU基盤教育」を通して、入門、基礎、応用と、入学から卒業まで継続して、体系的に学修する土台作りを行います。
「KSUプロジェクト教育」は、学内にとどまらず、地域や企業、行政と連携してプロジェクトを立ち上げ、社会で必要なスキルを実践で学ぶプログラムです。SDGsに関する取り組みも行っており、学生は自身の体験を通して、多角的な視点で課題を解決する力を培うことができます。
そして、1年次から行われる「キャリア教育」では、企業の情報収集、履歴書の書き方や面接の指導まで、就職活動において必要なスキルを一から学ぶことが可能です。資格取得のサポートもあり、学生の進路に応じて、さまざまな指導が受けられます。
このように、学部にかかわらず、体系的な学修が行えること、卒業後の社会生活でも役立つ実践的な学修ができることが、学生にとって重要視されているのではないでしょうか。
教育充実度の順位が上昇した大学の取り組み③武庫川女子大学
武庫川女子大学は、「教育充実度」スコアが57.5で、130位でした。2020年度の順位から11位上昇しています。九州産業大学と同じく、関西の私立大学の中でトップ3に入る順位上昇数です。
同大学は、10学部20学科。在籍学生数8,418人(2021年5月時点)で、日本の女子大学でトップクラスの学生数を誇ります。文系・理系、大学・短大を問わず幅広い分野を自由に学べる、「共通教育」という科目群が用意されているのが大きな特色です。加えて、就職活動や社会人生活に役立つ「特別教育」科目も開講されています。学生たちは、知識やコミュニケーションを磨く授業や、資格取得のための授業など、幅広い科目から選択することができます。
そして、もう一つの特色は、アメリカのワシントン州に分校があり、武庫川女子大学の学生が、現地での授業を受けられることです。英語文化学科では約4カ月の留学を行うほか、薬学部では、ワシントン州立大学薬学部と連携し、米国の医療が学べるプログラムがあります。
多種多様な分野の学修や、専門領域について、より発展的に学ぶことができる環境が整えられているため、学生の学修意欲に応えることができるのでしょう。