航空宇宙工学とは?

 航空宇宙工学とは、航空工学と宇宙工学を合わせた学問です。以前は、航空工学は飛行機などの上空を飛行する技術、宇宙工学はロケットや人工衛星といった宇宙に関する技術というように、分野が分かれていました。しかし、科学技術の発展とともに、航空工学の技術が宇宙開発に応用されるようになっていったため、現在は「航空宇宙工学」とまとめられることが多いです。
 航空宇宙工学は、「流体力学」「構造力学」「熱力学」「材料工学」「ロケット工学」などからなっている学問であるため、工学部で学ぶことができる大学が多いです。
 この分野を学んだ学生の進路には、航空メーカーや航空会社、宇宙開発に関わる企業の専門職などが挙げられます。中には、大学院に進学し、より高度な技術や知識を修得する人や、海外やグローバル企業で働く人もいます。

航空宇宙工学を学べる大学①金沢工業大学

 ここからは実際に航空宇宙工学を学ぶことができる大学3校の取り組みについて紹介していきます。
 金沢工業大学は、石川県にある私立大学です。金沢工業大学の工学部航空システム工学科では、航空機に働く力を効率よく発生させるメカニズムや、安定した飛行を実現する統合システム技術について学ぶことができます。
 金沢工業大学航空システム工学科では、授業の一環として、航空機製造のトップメーカー・ボーイング社のExternship Programに参加することができます。
 このExternship Programを通して、ボーイング社の提供する講義を受講し、学生同士でディスカッションすることで、航空に関する最先端の知識を習得できます。授業は日本語と英語で行われるため、航空に関する最先端の知識だけではなく、英語力も身に付けることができます。
 金沢工業大学工学部航空システム工学科は、航空技術に特化している学科なので、航空宇宙工学の中でも「航空機に興味がある」という学生に適しています。

航空宇宙工学を学べる大学②中部大学

 中部大学は愛知県にある私立大学で、工学部宇宙航空理工学科が存在します。
 この宇宙航空理工学科では、宇宙航空産業の第一線で活躍する技術者を講師に招いた特別講義が受けられるほか、宇宙航空業界の標準ツールである3D-CAD「CATIA」や数値解析ソフト「MATLAB」の技術を学ぶことができます。宇宙航空産業に携わる企業を対象とした工場見学・工場実習なども行われています。
 中部大学工学部宇宙航空理工学科の特徴は、「少人数教育」と「宇宙機・航空機づくりの現場で学ぶ」ことを大切にしていることです。航空産業が栄えているワシントン州の大学などと連携協定を結んでおり、海外研修に参加すれば、現地で最先端の技術を学ぶことができます。
 2023年4月には、理工学部が誕生しその中に宇宙航空学科が設置されます。詳しくは大学ホームページをご確認ください。

航空宇宙工学を学べる大学③工学院大学

 工学院大学は東京都にある私立大学で、2019年4月に先進工学部に航空理工学専攻と宇宙理工学専攻が新設されました。
 航空理工学専攻は機械理工学科に設置されており、高度な工学知識と飛行操縦スキルを兼ね備えたエンジニア・パイロットの育成に力を入れています。在学中にFAA自家用(固定翼・回転翼)/JCAB自家用(固定翼・回転翼)/JCAB事業用(回転翼)の資格を取得することができるので、パイロットを目指す学生に適しています。アメリカの提携フライトスクールでの飛行訓練に参加してライセンス取得を目指す、「JCAB事業用・海外ライセンサーコース」があるため、在学中に海外での飛行訓練経験を積むことも可能です。
 宇宙理工学専攻は、ロケットや宇宙船など、宇宙環境で使用する機械の開発などに携わりたい学生に適しています。
 宇宙理工学専攻は応用物理学科に設置されており、応用物理学を用いて、ロケット・宇宙船・人工衛星・推進機など、宇宙環境での利用を想定した物質・材料の研究を行うことができます。

 この記事で紹介した、金沢工業大学、中部大学、工学院大学の3校は、THE世界大学ランキング日本版2022にランクインしています。詳しいスコアについては、記事下の関連リンクよりご覧ください。