東日本で「教育充実度」分野のランクを上げた私立大学は?

 THE世界大学ランキング日本版における「教育充実度」とは、「どれだけ教育への期待が実現されているか」を表します。その大学に通う在学生への学生調査と、高校教員の評判調査の結果が指標化されています。
 「教育充実度」分野で上位に入る大学は、授業・指導の充実度はもちろんのこと、教員・学生の交流や、協働学修の機会の確保、学修を進める上でのサポート体制の整備などが評価されているといえます。
 2022年度の世界大学ランキング日本版において、「教育充実度」分野のランクを上げた東日本の私立大学は、20校ありました。
 そこで、その20校のうち、大幅に順位を上げた3校をピックアップして特色や取り組みをご紹介します。

教育充実度の順位が上昇した大学①武蔵野大学

 武蔵野大学の特色・取り組みについて紹介します。
 武蔵野大学は、「教育充実度」スコアが59.4で、教育充実度の分野別ランキングは123位タイでした。昨年から28位以上順位を上げています。
 武蔵野大学は、仏教の根本精神である四弘誓願(しぐぜいがん)を基礎とする人格教育を掲げており、学部の専門的な学修だけでなく、学生同士の国際交流や資格取得、日々の快適な学習環境の確保など、多角的なサポートを行っています。
 特色の一つとして、世界各国から約800人の留学生が集まっていて、国際交流に力を入れていることが挙げられます。有明キャンパスと武蔵野キャンパスそれぞれに、日本人学生と外国人留学生が交流できるスペースを設けており、日本にいながら国際交流ができる環境が用意されています。さらに、各学部の講座だけでなく、キャリアセンターが主催する各種資格対策講座があり、学生の資格取得を支援しているのも武蔵野大学の特色です。TOEIC公開テストについては、申込時に受験料の一部を大学が補助しています。
 生活面では、「STOP HARASSMENT」という取り組みを通して、ハラスメントのない快適な教育環境や就業環境の確保を目指して対策を行っているほか、学内に複数の相談窓口を設け、学生が相談しやすい環境づくりをしています。
 このように、国際交流や資格取得をはじめとした大学の手厚いサポートが、学生の学修意欲の向上や満足度向上につながっているのでしょう。

教育充実度の順位が上昇した大学②日本女子大学

 次に、日本女子大学の特色・取り組みについて紹介します。
 日本女子大学は、「教育充実度」スコアが57.1で、教育充実度の分野別ランキングは143位タイでした。昨年から8位以上順位を上げています。
 日本女子大学は1901年の建学以来、創立者成瀬仁蔵の建学の精神である「女子を人として教育すること 女子を婦人として教育すること 女子を国民として教育すること」に基づき、女子高等教育の道を切り拓いてきた大学です。家政学部、文学部、人間社会学部、理学部、大学院を擁する女子総合大学であり、2022年5月1日現在の学部在籍者数は6,264人と中規模大学にあたります。
 日本女子大学の特徴は、学生生活を多方面からサポートする体制が整っている点です。例えば、様々な学修支援として、校内にラーニング・コモンズが2つ設置されています。授業外学修、社会連携や貢献活動など様々な学びの場として活用できるほか、学科・専攻推薦を受けた学生が担う「ラーニング・サポーター」への学修相談が可能であり、履修やレポートの書き方など、学修に関する質問をすることができます。
 また、2021年度には、目白キャンパスの敷地内の潜心寮・泉山寮がリノベーション・再開寮されました。「住みたくなる寮」をコンセプトに、学生参加の進学寮プロジェクトのもと、生活ルールを一新。学生が主体となり運営していく「自治寮」であり、大学教員による学寮委員会は学生の自治をサポートしていくという仕組みが特徴です。
 このように、学修はもちろん、生活面でも学生が主体的に活動していく体制が、学生の充実感につながっていると考えられます。

教育充実度の順位が上昇した大学③獨協大学

 次に、獨協大学の特色・取り組みについて紹介します。
 獨協大学は、「教育充実度」スコアが74.1で、教育充実度の分野別ランキングは43位でした。昨年から11位順位を上げています。
獨協大学の特徴は、国際・地域交流が盛んで、世界の15言語を学ぶことができるなど、語学教育に特化している点です。よって、学生の語学学習をサポートするさまざまな仕組みが存在します。例えば、学部関係なく自分の学べる言語を選択でき、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、アラビア語、現代ヘブライ語、トルコ語、古典ギリシア語、ラテン語を学ぶことができます。また、英語学習の悩みを持つ学生を支援するための「英語学習サポートルーム」というスペースがあります。ここでは個別カウンセリングを通して、専門のスタッフが個々のスタイルに合った学習法や留学に向けた対策をサポートしています。
 さらに、2023年4月には、「学術研究・教育活動×地域との開放的な交流の場」をコンセプトにした、「獨協⼤学コミュニティスクエア」が完成予定です。語学に留まらず、幅広い分野での協働学修や地域交流のさらなる活性化も期待されます。