芸術系学部の学生にとっての国際交流

 芸術は、言語を介さず理解できる側面があるため、国を問わず文化交流がしやすいという特徴があります。一方で、作品の解説や交流パーティーなどの場では、英語をはじめとする外国語でのコミュニケーションスキルが必要になります。そのため、芸術系学部においてはグローバル教育へのニーズが高まっており、留学・海外研修をはじめ、海外公演の実施、海外で活躍する芸術家の招へいなど、さまざまな取り組みがされています。
 芸術系の学問を志し、世界での活躍を望む学生にとっては、こういったグローバル教育に関する取り組みが盛んな大学・学部を選択することが重要といえるでしょう。
 ここからは、THE世界大学ランキング日本版2022の「国際性」分野別ランキングで上位にランクインしている、芸術系学部がある大学の具体的な取り組みについてご紹介します。

桜美林大学芸術文化学群の取り組み

 桜美林大学は、「国際性」ランキングで39位にランクインしています。
 桜美林大学には芸術文化学群があり、「演劇・ダンス専修」「音楽専修」「ビジュアル・アーツ専修」の3つの専門分野に分かれています。3つの専門分野すべてで、毎年海外研修を実施し、グローバルな人材の育成を行っていることが特徴です。中でも、演劇・ダンス専修では、グローバルな視野を持つ国際人育成を目的として、毎年、海外の演劇公演を鑑賞する短期研修を実施しています。さらに、京劇の授業では中国に招へいされ、北京や上海など国際的な舞台で上演を行っています。
 また、芸術文化学群だけでなく、全学部共通でグローバル教育に力を入れていることも、桜美林大学の特色です。キリスト教精神に基づく国際人を育てることが桜美林学園の建学の精神であり、全学部の学生が共通して学ぶ「学群指定科目」に外国語が指定されています。学生は入学時のプレイスメントテストによって習熟度別クラスに分かれ、各自のレベルに合わせて段階を踏んで英語を学修することができます。また、約4か月間の留学(GO プログラム)制度が設けられており、現地で語学能力を高めることもできます。
 桜美林大学は、芸術文化を学び、語学力を生かして自分の可能性を伸ばしたい人に適している大学といえます。

城西国際大学メディア学部の取り組み

 城西国際大学は、「国際性」ランキングで54位にランクインしています。城西国際大学メディア学部メディア情報学科には、映像芸術コースとニューメディアコースの二つがあり、エンタテイメントやメディアアーツなどの知識をつけることができます。城西国際大学では、さまざまな言語の充実した科目が開講されています。例えば、1年次の必修科目である英語教育はすべてネイティブスピーカーによる授業で、英語のコミュニケーション能力を基礎から磨くことができます。
 さらに、メディア学部では、米国研修としてホームステイを行いながら、ミニフィルム制作、ハリウッド映画スタジオ見学、メディア人材育成で著名な南カリフォルニア大学映画学部訪問、メディア関連英会話の学習などができます。また、城西国際大学にはJEAP(城西国際大学海外教育プログラム)という独自の留学制度があり、この制度を利用して留学すると、留学先で取得した単位も卒業単位に加わり、1年の長期留学でも休学することなく4年で卒業することが可能です。
 城西国際大学は、外国語のコミュニケーション能力を身に付け、エンタテイメントの本場に赴き学修したい人に適している大学といえます。

神戸女学院大学音楽学部の取り組み

 神戸女学院大学は、「国際性」ランキングで79位にランクインしています。伝統ある音楽学科では、世界レベルのプロによる指導が行われています。神戸女学院大学はオーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム大学(モーツァルテウム音楽院)と交友関係を結んでおり、毎年オーストリアから教員や学生が来校。交流コンサートやワークショップが開催されています。さらに、一学期間モーツァルテウム音楽大学に留学する認定留学制度があり、留学中のモーツァルテウム音楽大学の学費は免除、留学期間の神戸女学院大学の学費は3/4免除となります。現地で取得した単位は神戸女学院大学で認定されるため、卒業が遅れることなく、留学をすることが可能です。
 充実した留学制度以外にも、オーストリア(ウィーン、ザルツブルク)の夏期国際アカデミーへの推薦制度を設け、学生に助成金を授与しています。海外大学との協働制作も行われており、2018年にはアメリカのサム・ヒューストン州私立大学と共同でオペラ制作・公演を行ったことも、特徴的な取り組みの1つです。
 神戸女学院大学は、日本の大学に在籍しながら、海外でレッスンを受けて音楽を極めたい人に適している大学であるといえます。