大学が行う地域創生の取り組み①熊本大学
まず、熊本大学の取り組みについて説明します。熊本大学は、THEインパクトランキング2022総合201-300位、目標11では101-200位にランクインしています。
熊本大学は、SDGs普及促進のための制度である「熊本県SDGs登録制度」に令和3年8月25日付で登録されています。熊本大学は、この制度への登録にあたり「地元自治体等との連携・協力体制を構築し、地域のニーズに応じた教育及び研究を推進することで、産業活性化の充実を図る」という指針を掲げており、地域と連携してさまざまな取り組みを行っています。
例えば、熊本大学にある熊本創生推進機構地域連携部門は、各地域と連携して、地域創生のためのローカルプロジェクトに当たっています。地域で事業を承継する若手事業者を対象にした「地域再生人材育成塾」などを主催し、地域の持続的な発展に寄与しています。また、「地域づくり交流会」では、地域が受け継いできた資源や文化を次世代に継承する方策を考え、学外の講師も招いて議論をしています。
さらに、在学中の学生に対しても、熊本を知るためのカリキュラムを整備しています。そのうちの一つが、キャリア科目の「地方創生実践論」などの講義です。これらの講義では、前述の育成塾を共催する自治体の首長や塾生などが講師となり、各自治体の政策やビジョンなどを学ぶことができます。
このように、大学側が地域の人々に知識を提供するだけではなく、地域の人々が学生に教える立場にもなり、相互に地域創生を進めていく点が熊本大学の取り組みの特色と言えます。
大学が行う地域創生の取り組み②立命館大学
立命館大学は、THEインパクトランキング2022総合201-300位、目標11では101-200位にランクインしています。
立命館大学は、各キャンパスが立地する周辺地域における具体的な連携方策として、地方公共団体との包括協定の締結や市民公開講座の実施などを行っています。
特に地域と連携したSDGs活動が活発なのが、京都府京都市に位置する衣笠キャンパスです。衣笠キャンパスでは、地域の自然保護、ごみ処理に関連する取り組みとして、「腐葉土プロジェクト」および「きぬがさ農園プロジェクト」が行われています。これは、衣笠キャンパスにある約50本のケヤキと約60本のクヌギ・コナラの木の落葉を腐葉土化し、地域と共同運営する農園で野菜づくりや花卉栽培に活用したり、右京区京北町における野菜づくりに活用したりする取り組みです。
共同農園で収穫した野菜は共同生産者である学生・教職員と地域住民の方々とで消費し、右京区京北町で収穫された野菜は、衣笠キャンパスで「京北マルシェ」が販売する野菜スープや弁当等の食材として活用されています。
この取り組みによって、地域の美化だけでなく、食料生産や、地域の経済活動にもつながっています。
大学が行う地域創生の取り組み③東洋大学
東洋大学は、THEインパクトランキング2022総合601-800位、目標11では201-300位にランクインしています。
東洋大学は、エコキャンパス推進委員会を設置し、「環境教育部会」と「環境施設部会」の2つの専門部会を設けて活動を行うなど、SDGs全体に対して全学的に取り組んでいます。
特徴的な取り組みが、2021年度より開始された「東洋大学SDGsアンバサダー」です。これは、学生個人または学生団体に対して、「東洋大学SDGsアンバサダー」の称号を付与し、学生主体のSDGsへの取り組みを支援・活発化させる取り組みです。「東洋大学SDGsアンバサダー」が設定する8つのテーマのうち、特に地域創生に関連しているのが「5.被災地支援、防災」です。このテーマに関連して、2022年東洋大学SDGsWEEKsのSDGアンバザダー主催のイベントとして、2022年10月には「大学祭出展防災カードゲーム」が実施されました。
ほかにも、2022年東洋大学SDGsWEEKsでは、社会学部の教員による公開授業「コロナ禍のホームレス支援活動から見える日本社会の課題」や「ひとり親家庭と子供支援」がオンライン開催されるなど、地域の人も参加できる支援・学習の場が提供されました。さらに、地方創生の本格的な事業展開に必要な人材の育成を目指すプラットフォーム、「地方創生カレッジ」にも、11科目のeラーニング講座を提供しています。このように、学生・教員から地域に向けて積極的に情報の発信や提供を行っているのが、東洋大学の特色です。