メタバースとは?

 近年ゲームやイベント、ビジネスなどで耳にすることの多い「メタバース」とは、インターネット上に構成される「3次元の仮想空間」です。メタバースという言葉は、「超越した」「高次の」という意味の「メタ(meta)」と「ユニバース(universe/宇宙)」を組み合わせた造語です。仮想空間上に自身を投影することで、チャットやメールを通したオンラインコミュニケーションよりも高い没入感を得られるのが特徴です。
 このメタバースは、コロナ禍における影響もあり、大学をはじめとする教育現場で研究や活用が進んでいます。この記事では、メタバースを活用した取り組みを行う大学を3つご紹介します。

東京大学の取り組み

 東京大学は東京都にある国立大学で、THE 日本大学ランキング2023では総合2位でした。
 東京大学が行う、メタバースを利用した取り組みは大きく2つあります。
 1つ目は、2022年度の新入生歓迎会のオリエンテーションをメタバースで実施したことです。これはVRの研究・活用を進める東京大学バーチャルリアリティ教育研究センターが実施したプロジェクトで、東京大学をメタバース空間として再現し、正門から安田講堂へ向かう銀杏並木沿いに18の学生サークル団体の立て看板を設置しました。参加した新入生は、自分のスマートフォンやパソコンでメタバース空間にアクセスし、好みのアバターを選んで入場できます。立て看板から詳しい情報を見たり、サークルの上級生からメタバース上で説明を受けたりできるなど、オンライン上でリアリティのある体験ができます。
 2つ目は東京大学大学院工学系研究科・工学部が中心となり、中高生や社会人に向けて広くオンライン講座を提供していることです。この取り組みは「メタバース工学部」と名付けられています。受講生は年齢や性別、地域にとらわれず、アバターの姿でメタバース空間に入り、講座に参加することができます。

順天堂大学の取り組み

 順天堂大学は東京都にある私立大学で、THE 日本大学ランキング2023では総合81位タイでした。
 順天堂大学が行う、メタバースを利用した取り組みは主に2つあります。
 1つ目は日本アイ・ビー・エム株式会社と共に実施している、メタバースを用いた医療サービス構築に向けた共同研究です。現在、順天堂医院をメタバース空間で再現する「順天堂バーチャルホスピタル」の構築や、患者さん・家族が来院前にメタバース空間で病院の様子を体験できる環境の構築に取り組んでいます。また、外出が困難な患者さんが仮想空間を通して友人や家族と交流できるよう、コミュニケーションの場としてメタバースを活用する取り組みも構想しています。
 2つ目は、順天堂大学が星薬科大学、電気通信大学と合同で2023年3月に実施した、「メタバース」に関する発表・意見交換のフォーラムです。3大学は平成28年に学術連携協定を締結し、異分野融合が想定される研究テーマについて意見交換を進めてきました。フォーラムには学生・学外問わず広く参加することができ、各大学の教授・特任助教授が研究を発表しました。順天堂大学は、「メタホスピタル構想」について発表しました。

羽衣国際大学の取り組み

 羽衣国際大学は大阪府にある私立大学で、国際性分野のランキングで130位にランクインしており、国際交流にてメタバースを活用しています。
 具体的な取り組みとして、2021年に実施されたメタバースでのフィリピン人英語教師との国際交流が挙げられます。この取り組みの実施の背景は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学生達の海外留学が全て中止となったことがあります。
 交流はMeta社(Facebook)のバーチャル会議アプリ「Horizon Workrooms」とバーチャルリアリティ用デバイス「Meta Quest 2」を用いて行われました。学生たちは講師とのマンツーマン授業をはじめ、フィリピン現地の大学生との交流、英語での街頭インタビューなどを通して、英語やフィリピンの文化についてメタバース空間で学びました。