小規模大学の定義とは?国際性ランキングの指標も解説

 小規模大学とは、入学定員が1,000人以下かつ学生数が4,000人未満である大学のことを指します。大規模大学は収容定員が8,000人以上と定義されているため、小規模大学は大規模大学の半分以下の学生数であるといえます。
 また、THE 日本大学ランキングは、「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」という4分野と 16項目で構成され、大学の教育力を総合的に表しています。国際性は、外国人学生比率・外国人教員比率・日本人学生の留学比率・外国語で行われている講座の比率の4項目で構成されており、国際性分野のスコアが高い大学は、国際性が高いといえます。
 今回は国際性分野ランキングにおいて上位にランクインした小規模大学である、宮崎国際大学、神戸市外国語大学、長岡技術科学大学の3校の取り組みについてご紹介します。

宮崎国際大学の取り組み

 宮崎国際大学は、THE 日本大学ランキング2023国際性分野のランキングで5位にランクインしています。学生数は520名と少人数で、そのうち331名が国際教養学部の学生です。※2023年5月1日現在
 宮崎国際大学の国際教養学部は、専任教員1人当たりの学生数が14人、外国人教員1人当たりの学生数が25.2人と、少人数制クラスで授業を行っているため、学生一人ひとりに目が行き届きやすい環境が整っています。さらに、英語の授業は習熟度別で行われるため、自分のレベルにあったクラスからスタートすることができます 。また、外国人教員の割合が約70%と高いのも特徴です。
 2年次は海外研修が必修で、英語圏の5か国(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド)の15大学の中から各自で行きたいところを選択し、16週間の研修をします 。
 国際教養学部だけでなく、教育学部でも国際性の向上に役立つサポートがあります。例えば、英語力向上のためのオプション教育プログラムとして英語授業と連携したe-learningシステムや、英検対策講座を受けることができます 。
 そして、国際教養学部、教育学部のどちらの学部にも、入学すると学生一人ひとりに担当の教員が付く「アドバイザー制度」があります。これは、担当の個別指導教員が個々の興味や希望を聞き、履修登録や学習計画等に関する教育指導を行う制度です。加えて、先輩学生が後輩の学生生活をサポートする「アドバイザー・アシスタント制度」もあり、小規模大学であることを生かした充実したサポートを受けることができます 。

神戸市外国語大学の取り組み

 神戸市外国語大学は、THE 日本大学ランキング2023の国際性分野のランキングで16位にランクインしています。神戸市外国語大学は外国語学部のみの単科大学で、学生数は学部生が2,100名、大学院生が117名です。各学科の収容定員は160~560名で、中には1学年50名前後の学科もあります。※2023年5月1日現在
 神戸市外国語大学の伝統行事に、毎年英米、ロシア、中国、イスパニア、第2部英米学科の5つの劇団が、専攻している言語を用いて劇を披露する「語劇祭」があります。演目選びから日本語訳の字幕作成まですべて学生が担当し、語学力の向上はもちろん、文学作品や文化への理解も深めることができるのが特徴です。
 また、2016年には学生の学修や学生支援の環境を充実させるために、校舎を増築。増築された第2学舎には学修活動をサポートする「スチューデントコモンズ」が設置され、グループ学修スペースやプレゼンテーションルーム、スピーキングルームなどが利用できるようになっています。また、スクリーンとしても利用できる全面ホワイトボードの壁面とプロジェクタ6台が完備された多機能型教室も設置され、アクティブラーニングをはじめとする、多様な教育カリキュラムに対応できる環境が整えられています。
 また、国際的なボランティア活動の一つとして、「青少年国際交流キャンプ」への参加が挙げられます。これは、外国人学校の児童と市内小学生が国際交流体験を通じて豊かな国際感覚を育てるために、神戸市が毎年9月頃に開催しているプログラムです。この活動に、神戸市外国語大学の学生が青年リーダーとして参加し、外国人児童とのコミュニケーションなどを支援しています。

長岡技術科学大学の取り組み

 長岡技術科学大学は、THE 日本大学ランキング2023の国際性分野のランキングで26位にランクインしています。学生数は学部生が1,083名、大学院生が1,060名です。※2023年5月1日現在
 長岡技術科学大学は、主に全国の高等専門学校から学生を受け入れていることが特色で、高等専門学生と大学生が協力して取り組む研修プログラムやイベント、教員同士の共同研究などを行っており、イノベーション創成力の向上につなげています。
 国際性の向上に関しては、約120の海外機関との学術交流協定を締結し、国際連携教育を実施するなど、国際交流を積極的に推進しています。現在、全学生における留学生比率は約12.2%と非常に高い比率となっています。
 また、英語の授業ではプレゼンテーション、リスニング演習、多読多聴、精読、エッセイライティングなどを取り入れ、英語4技能をバランスよく向上させています。ほかにも、授業でのペアやグループ活動、課外での語学研修(学内及び海外)などにより、英語を実際に使う場を積極的に設けています。
 さらに、学部では海外語学研修、修士では海外の大学・研究機関・企業等での研究開発への従事(修士海外研究開発実践)など、海外での経験を積む機会も提供しています。