SDGsの目標6とは?

 SDGsの17項目のうちの一つに安全な水の供給や衛生的なトイレの設置に関する目標6「安全な水とトイレを世界中に」という目標があります。現在、世界人口の約4分の1、約20億人が安全な飲み水を使えず、トイレがなく、道ばたや草むらなど屋外で用を足す人は4億9400万人いるといわれており、水質の改善や衛生的なトイレの設置が課題となっています。そのような中で、この水質問題の解決につながる研究や取り組みを行っている大学があります。
 ここからは、特にSDGsの中の水質改善に取り組んでいる大学、3校を紹介します。

山口大学の取り組み

 山口大学は、THEインパクトランキング2022総合301–400位、SDGsの目標6分野での順位は101–200位です。
 山口大学は、教育・研究・国際交流および地域貢献を通じて、SDGsの達成に教職員が一丸となって積極的に取り組んでいる大学です。そしてSDGsへの取り組みについてまとめた「山口大学SDGs報告書」や「環境報告書」を公開しています。2022年度の環境報告書によると、山口大学では環境マネジメント対策推進会議を中心に全学で環境目標に対して取り組みを行っており、目標6に対しては節水の推進、環境の美化、化学物質の管理水質汚濁防止などが実施されています。
 また、山口大学では、学生が受講する授業についてもSDGsと関連付けを行っています。具体的には、課題解決に関する内容を取り扱っている授業には、関連するSDGsの17の指標をシラバス上で明示しています。その中でも目標6に関連する授業には、理学部の「地球資源学Ⅱ」があります。「地球資源学Ⅱ」は水理学的な知識に基づいて地下水の流動について理解し、地形・地質と地下水分布の関係を考察することを目標としており、エネルギー資源の問題についても理解を深めることができる授業です。また湧水や温泉水、地下水の水質の研究なども行っています。
 このように、教職員を中心に節水や美化活動を行うだけでなく、学生が授業を通して目標6について意識しやすい環境が整っている点が、山口大学の特色といえるでしょう。

島根大学の取り組み

 島根大学は、THEインパクトランキング2022総合601–800位、SDGsの目標6分野での順位は301–400位です。島根大学は、大学憲章において“自然と共生する豊かな社会の発展に努める”ことを謳っており、地方創生の推進、平和な国際社会の発展とインクルーシブな社会の実現に寄与する人づくりを通じて、SDGsの達成に向けて活動しています。
 特色ある取り組みとしては、「島根大学サイエンス・カフェ」が挙げられます。この取り組みは平成17年から108回にわたり実施されており、令和2年度からは「島根大学サイエンス・カフェ-島根からつなぐ!SDGs」としてリニューアルしています。SDGsの目標達成に向けて、社会のさまざまな課題の解決や持続的な発展について、参加者と研究者との「対話」と「協働」の場となることを目指して開催されています。
 島根大学において、目標6と特に関連性が高い学部は、生物資源科学部です。中でも環境共生化学科では、土・水・生物などの資源と環境を適切に保全・管理しつつ、持続的に利用していく環境調和型社会の構築や、その実践のために必要となる専門知識や技術に関する教育を重視しています。環境共生化学科の目標6に関連する具体的な研究には、農業地域における地下水を軸とした水循環評価に向けたフィールド調査などがあります。

東京都市大学の取り組み

 東京都市大学は、THEインパクトランキング2022総合601–800位、SDGsの目標6分野での順位は301–400位です。東京都市大学は、「持続可能な社会発展をもたらすための人材育成と学術研究」を理念に掲げ、7つの学部に属する研究室で、カーボンニュートラルを含む全てのSustainable Development Goalsに取り組んでいます。中でも横浜キャンパスは、自然環境に配慮したエコ・キャンパスとして、1998年に日本の大学で初めて国際環境規格ISO14001の認証を受けています。大学生のキャンパスライフそのものから環境問題を学ぶ、知の拠点づくりの先駆けを実現しています。
 そして、環境学部では、研究と教育、社会活動を通して、思考と経験の反復、システム思考とデザイン思考の連動性を重視した「SDGs探究」を実施・展開し、積極的に情報発信しています。
 その中でも環境創生学科は持続的な生態・都市環境の実現をめざし、基礎・フィールドから応用・政策分野まで、自然科学と社会科学の融合した実践的教育を実施しています。目標6に関連する研究を行っている研究室には、生態環境分野の咸泳植研究室(環境化学)が挙げられます。この研究室では、フィールド調査などを通して、生態系に欠かせない水質保全・環境保全のための汚染メカニズム解明を実施しています。