教育充実度ランキングがいくつかの大学で上昇

 THE 日本大学ランキングの「教育充実度」とは、大学生・大学院生への学生調査結果と高校教員の評判調査結果から、どれだけ教育への期待が実現されているかを表す指標です。
 2023年度の教育充実度分野ランキングにおいて、順位が上がった私立大学が複数ありました。
 以下の表は、教育充実度分野ランキング100位以内かつ、昨年の教育充実度分野の順位からの上昇幅が大きい西日本の私立大学です。順位の上昇幅が上位10位の大学をまとめています。今回はこの中から、愛知大学、福岡工業大学、近畿大学の取り組みを見ていきましょう。

愛知大学の取り組み

 愛知大学は、THE 日本大学ランキング2023の教育充実度分野93位タイにランクインしています。昨年に比べて19位アップと、教育充実度分野が大幅に伸びています。 
 愛知大学は、建学の精神として世界文化と平和への貢献、国際的教養と視野をもった人材の育成、地域社会への貢献を掲げています。
 愛知大学の特色のひとつとして、学習・教育支援センター委員会を中心に、学生の授業満足度向上・改善のための活動を実施していることが挙げられます。具体的には、過去18年にわたり「学生による授業評価」アンケートを行い、学内で結果を共有。それをもとに授業の改善や教員の教育を行っています。
 教員の教育だけでなく、学生の学びをサポートする附属機関も充実しています。例えば図書館は、一般書から専門性の高い書籍まで、私立大学としては有数の約133万冊の蔵書を誇っています。また、パソコンをはじめとするICT(情報通信技術)ツールが完備されている施設・情報メディアセンターでは、WordやExcelの初心者向け講習会や、学生相談員による利用サポートなど、学生生活に必要なICTスキル向上を支援する取り組みが実施されています。
 このように、積極的な授業改善と、環境の整備が行われているのが愛知大学の特徴です。

福岡工業大学の取り組み

 福岡工業大学は、THE 日本大学ランキング2023の教育充実度分野83位にランクインしています。昨年に比べて14位アップしており、教育充実度分野が大きく伸びていることが分かります。
 福岡工業大学の特徴の一つに、「面倒見のよい丁寧な教育」があります。教員・職員が一丸となり、学生一人ひとりの可能性を広げる強力なサポート体制を築いています。具体的には、学内/オンライン/海外派遣から選択できる国際プログラムの展開や、最新の学習スタイルに対応したアクティブ・ラーニング施設の整備などが挙げられ、各学生に合った学修ができる環境が整っています。
 また、福岡工業大学では、学生の自主活動が活発です。中でも特徴的なのが、学生FDスタッフを中心としたFD活動です。FDとは、「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」のこと。FD活動は教員が実施することが基本とされますが、福岡工業大学では学生も参加しています。教職員と学生の座談会、教員インタビュー、広報誌(Future Design)発行、学生による授業に関するアンケートなどを行い、教員・職員・学生の三位一体で授業の改善・向上を目指しています。
 さらに、福岡工業大学は就職支援も手厚く、年4回以上学内で「学内合同企業セミナー」を対面型・Webライブ型の両方で開催しています。
 大学や教員の面倒見のよさと学生の主体性、どちらも両立されているのが福岡工業大学の特色と言えるでしょう。

近畿大学の取り組み

 近畿大学はTHE 日本大学ランキング2023の教育充実度分野29位タイにランクイン。昨年の順位からは5位アップしています。
 近畿大学は、2025年で創立100年を迎える15学部49学科の総合大学で、キャンパスは西日本私大最大面積を誇ります。西日本一帯にある6つのキャンパスのほか、水産研究所や原子力研究所などさまざまな研究施設を備えています。
 近畿大学の特色として、多様な学修サポート体制が挙げられます。例えば、「オフィスアワー」がその一つで、これは教員ごとに設定された時間帯(オフィスアワー)は教員が研究室で待機し、学生からの質問や相談に受け答えてくれる制度です。
 また、工学部にある学習支援室では、専門教育に必要な英語・数学などの基礎科目を中心に、高校で学習しなかった科目や十分習得できなかった科目と大学の講義内容と結び付けた、グループ/個別指導を実施しています。
 さらに、中央図書館の学修支援サービスの一環である学修サポートデスクでは、さまざまな研究科に所属する大学院生のLA(ラーニング・アドバイザー)たちからの学修サポートを受けられます。
このように、近畿大学は設備、学修サポート共に充実している大学です。