日本の多くの大学が大きく順位上昇

 イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は日本時間の9月27日、2024年の「THE世界大学ランキング」を発表しました。トップは8年連続でオックスフォード大学で、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学がこれに続きます。日本最高位の東京大学は前年より10ランクアップの29位で、続く京都大学は55位タイ 、東北大学は130位タイでした。「特許に引用された論文数」が指標に加えられたことにより、日本の多くの大学が大きく順位を上げました。

中国、日本がアジアの躍進を牽引

 今回の「THE世界大学ランキング」では、108の国と地域から過去最多の1,904校(前年は1,799校)がランキング対象になりました。
 今回からランキング指標が改定され、従来の5分野「教育」「研究」「被引用論文」「国際性」「産業界からの収入」を「教育」「研究環境」「研究の質」「産業界」「国際性」に変更。指標は13から17に増えました。新しい指標のうち3つは研究の質、1つは産業分野における特許を評価するものです。
THEは「大学の中核的使命である分野の17の指標に基づき、研究集約型大学を厳格に評価する最も包括的でバランスの取れた世界大学ランキングだ」と説明しています。
 オックスフォード大学に次ぐ総合ランキング2位はアメリカのスタンフォード大学で、3位も同じくアメリカのマサチューセッツ工科大学です。トップ10の大学は前年から2ランク以内の順位の変動があるのみで、顔ぶれは変わっていません。
 アジアからは総合ランキング12位の清華大学を筆頭に、過去最多の737校がランクイン。トップ200ランクイン数も前年の28校から過去最多の33校に増えましたが、中国(前年の11校から13校に)と日本(2校から5校に)の伸びが躍進の原動力になっています。今回、初めてランクインした165校のうち89校がアジアの大学で、ほかのエリアに比べて「教育」と「研究の質」の成績が向上しています。

日本の大学は「教員比率」のスコアが平均を上回った

に次いで2位でした。トップ50に1校、トップ100に2校、トップ200に5校がランクインしています。
「産業界」分野の新指標「特許に引用された論文数」や「研究の質」分野の新指標が日本の大学に有利に働いたこと、「学生に対する教員比率」のスコアが平均を上回ったことなどにより、以下の大学をはじめ多くが大きく順位を上げました。
•東京大学 39位→29位
•京都大学 68位→55位タイ
•東北大学 201-250位→130位タイ
•大阪大学 251-300位→175位タイ
•東京工業大学 301-350位→191位タイ
•名古屋大学 301-350位→201-250位
•九州大学 501-600位→301-350位
•北海道大学・筑波大学 501-600位→351-400位
•東京医科歯科大学 501-600位→401-500位
 初めてランキング対象となった和歌山県立医科大学は1001–1200位。前年はランキング対象外であった奈良女子大学と富山県立大学は、それぞれ1501+でランクインしました。

THEの日本の大学へのコメント

 THEは日本の大学について、次のようにコメントしています。
 「アジア、とりわけ中国、香港、シンガポール、韓国といった東アジアにおける競争の激しさを考えると、日本の大学が大きく順位を上げたことは称賛に値する。しかし、これはランキング指標の改定が有利に働いた結果でもあり、日本は依然として国際競争力における難題に直面している。ランキング上位を維持するためには、学生数の減少や、他の強豪国に比べて劣る国際性の課題に的確に対応する必要がある」

改定された5分野17指標でスコアを算出

 「THE世界大学ランキング2024」では従来の5分野13指標から5分野17指標に変わりました。旧指標と新指標の対比は下表の通りです。