アップサイクルとは?リサイクルとの違いもふまえて解説

 「アップサイクル」とは、本来廃棄される製品に対してデザインやアイデアを加えることで、より価値の高いものとして再生させることです。「創造的再利用」も呼ばれ、身近な例としては古着の生地を使ってぬいぐるみを作ることなどが挙げられます。
 似た用語として「リサイクル」がありますが、アップサイクルとリサイクルの違いは「原料に戻すかどうか」です。アップサイクルは製品そのものの形や特徴を生かして別の製品にアップフレードする一方、リサイクルは一度原料に戻し、それを原材料として新たな製品を作ります。アップサイクルのほうが製品を原料に戻すコストや手間・環境負荷がかからないことから、サステナブルな資源の活用法として注目されています。
 近年、環境問題への関心が高まり、SDGsへの積極的な取り組みを行う大学が増えてきています。本記事ではその中でも、アップサイクルに関する取り組みを積極的に行っている名城大学、立命館アジア太平洋大学、創価大学の3校の取り組みを紹介します。

名城大学の取り組み

 名城大学は、THE 日本大学ランキング2023の総合ランキング141-150位にランクインしています。
 名城大学では、学生の課外活動に対して大学が助成金を配布し、活動を支援する「Enjoy Learning プロジェクト」を実施しています。このプロジェクトにて「トップリーフ」というアップサイクル活動団体の企画が採択され、2021年度から活動を行っています。トップリーフが実施する「行き場をなくした服から新たな価値を作り出すアップサイクルプロジェクト」では、古着回収ボックスの設置、回収した古着のリメイク、製作した製品の展示会など、さまざまな活動を行っています。また、イオンモール大高店無印良品と協力して古着や空き箱から小物を作るワークショップを開催するなど、アップサイクルの知名度向上に取り組んでいます。
 さらに2022年度には、経済学部の伊藤志のぶ教授のゼミ生と名古屋聾学校生によって、愛知大学野球連盟から送られた折れたバットをアップサイクルして木工製品に生まれ変わらせるプロジェクト「SDGs大作戦」を実施しました。アップサイクルして制作したグッズの販売収入を愛知県緑化推進委員会の「緑の募金」に寄付し、緑化活動の支援へとつなげています。
 学生が主体的に考え、環境問題への取り組みを行っている点が、名城大学の特徴と言えます。

立命館アジア太平洋大学の取り組み

 立命館アジア太平洋大学は、THE 日本大学ランキング2023の総合ランキング22位タイにランクインしています。
 立命館アジア太平洋大学では、学長直下のプロジェクトである「SDGsの推進とエコキャンパスの実現プロジェクト」が2020年7月に開始。同プロジェクトの中で、インドネシア出身の学生が母国のごみ問題に触発され、エコ活動団体「アップサイクル」を設立しました。「アップサイクル」は、「Upcycling」というワークショップの開催を通して、持続可能性と廃棄物管理の習慣を促進することを目標に取り組んでいます。
 また2023年4月には、持続可能な社会づくりを研究する「サステイナビリティ学」と、地域の経済・文化に影響を与える「観光」の両面から学修を行う「サステイナビリティ観光学部」が新設されました。専門教育科目には環境学、資源マネジメントの関連科目があり、サステイナブルビジネスなど、アップサイクルに関連する科目を受講することができます。
 グローバルな視点で環境問題の解決へ取り組んでいる点が、立命館アジア太平洋大学の特徴と言えます。

創価大学の取り組み

 創価大学はTHE 日本大学ランキング2023の総合ランキング74位にランクインしています。
 創価大学では、2023年6月に「アップサイクルグッズを作ろう」のワークショップを開催しました。ワークショップでは、図書館で不要になった新聞や雑誌等の紙類の廃棄物を、エコバックやブックカバー、パスケースなどの新たな品物に生まれ変わらせる取り組みを行っています。
 また、経営学部野村佐智代准教授ゼミでは、「企業評価と環境問題」をテーマに研究を行っており、プロジェクトの一つとして、サステナブルファッションの追求を行っています。具体的な取り組みとして、廃棄予定の生地からTシャツを作り、大学祭や東京ビッグサイトで毎年開催される環境展示会「エコプロダクツ展」にて販売しています。
 アップサイクルの実施に加えて販売も行い、環境とビジネスの双方から問題解決にアプローチしている点が、創価大学の特徴と言えます。