カーボンニュートラルとは?SDGsとの関係性
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)」は2022年4月28日、「THEインパクトランキング2022」を発表しました。「THEインパクトランキング」とはSDGsの枠組みを通して、大学の「社会貢献力」を可視化し、ランキング付けしたものです。
「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出量と吸収量を平衡させ、温室効果ガスの排出を実質的にゼロにすることを意味します。カーボンニュートラルは、SDGsの17ある目標のうち、目標7の「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」と目標13の「気候変動に具体的な対策を」の2つの目標と直接関わりがある概念です。
今回は「THEインパクトランキング2022」にランクインした大学から、カーボンニュートラルに関する取り組みを行う大学を3校紹介します。
カーボンニュートラルに関する取り組みを行う大学①千葉商科大学
千葉商科大学 は「THEインパクトランキング2022」の目標13で101-200位、目標7で401-600位にランクイン しています。大学独自に「千葉商科大学SDGs行動憲章」を策定し、環境負荷低減に学生・教職員が一丸となって取り組んでいます。
千葉商科大学は、電気とガスを含めたキャンパスの総エネルギー消費量に相当する再生可能エネルギーの発電による、「自然エネルギー100%大学」を目指しています。
カーボンニュートラルに関する取り組みの代表例としては、キャンパス内の太陽光発電設備が挙げられます。千葉商科大学は大学の建物の屋上に太陽光パネルを設置し、発電した電力を設置された建物で利用しています。さらに、発電出力1メガワット以上の太陽光発電所であるメガソーラー野田発電所を所有しており、2019年には、野田発電所等の発電量と千葉商科大学の消費電力量を同量にするという目標を達成しました。
また、学生もカーボンニュートラルに関する取り組みに積極的です。2022年7月には、学生団体SONEが省エネ意識啓発のため、学内で打ち水イベントを実施 しました。
このように、千葉商科大学は学生・教職員一丸となりカーボンニュートラル達成に取り組んでいます。
カーボンニュートラルに関する取り組みを行う大学②信州大学
次に、信州大学の取り組みについて紹介します。信州大学は「THEインパクトランキング2022」の目標13において、101-200位にランクインしています。また、「UI Green Metric World University Ranking」では2018年から2021年までの間、国内1位に 選出されました。
信州大学は地球温暖化防止実行計画を策定し、エネルギー使用量の抑制に関する取り組みを公開しています。大きな取り組みとして挙げられるのは、建物内の環境配慮設備です。信州大学国際科学イノベーションセンターの建物には、一次エネルギーの消費を低減するため、太陽光発電、燃料電池、地下水熱を利用した空調、融雪などの環境配慮設備が装備されています。
また、学生への教育にも積極的です。全学部の1年生を対象とした「全学横断特別教育プログラム」では、「環境マインド実践人材育成コース」という2年間のプログラムを開講しています。さらに、講義だけでなく、環境関連施設の見学、農林業などの体験学習を通し、高年次では日本と海外の現状との比較をしながら「サスティナブルとは何か」を掘り下げています。
このように、信州大学は大学独自の環境マネジメントシステムを構築し、カーボンニュートラルに挑戦しています。
カーボンニュートラルに関する取り組みを行う大学③神奈川大学
最後に、神奈川大学の取り組みについて紹介します。神奈川大学は「THEインパクトランキング2022」の目標13において、201-300位にランクインしています。「SDGsへの神奈川大学のコミットメント」を発表し、持続可能な世界を実現するための施策を推進しています。
神奈川大学は臨海部における脱炭素社会の実現に向けて、相互に協力することを目的とした協定を横浜市と締結しています。海中でのソーラー発電を可能にするため、太陽光パネルを横浜港内の海上 に設置し、陸上での発電との性能比較や海中生物の付着対策を実験・検証するという取り組みを進めています。また、東京電力エナジーパートナー株式会社の再エネ電気メニュー「はまっこ電気」を導入しています。これは横浜市が進める脱炭素化「Zero Carbon Yokohama」目標の実現に向けた施策の一つとして再エネの地産地消を推進するものです。
さらに、水力発電電力である「アクアdeパワーかながわ」をみなとみらいキャンパスに導入しました。水力発電は再生可能エネルギーの1つであり、二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化の防止につながります。他にも照明器具のLED化、高効率冷温水機器への更新、高効率空調システムへの更新などが計画され、省エネルギー対策が推進されています。
このように神奈川大学は再生可能エネルギーの導入に積極的です。